私たちは太陽の光を浴びればもれなく紫外線がついてきます。
紫外線はかなり有害で様々な変化をもたらします。
紫外線を肌に浴びると体は紫外線から細胞を守るためにメラニン色素を作り出します。
きちんとターンオーバーが行われて、皮膚から排泄されていればよいですが、それがうまく行われなかった場合にはその部分はシミができます。
また、紫外線は肌の真皮にまで突き抜けてコラーゲンやエラスチンなどを変性させたり、壊したりします。
コラーゲンやエラスチンこそが肌の弾力なので傷つけられることでシワやたるみの原因となります。
日焼け止めを使うメリット
上乗せ老化を防げる
私たちが年を重ねることによって老化現象が起こること。
これについては生き物として避けることはできません。
紫外線を浴びることによっておこる光老化は加齢によっておこる老化とは違い、加齢による老化に上乗せされる老化です。
きちんと対策をすれば上乗せされる部分は防ぐことが可能です。
そのため、対策をすれば5年、10年後の肌は大きく違ってくるでしょう。
紫外線から守れる
- 日焼けの予防
- しみ、しわ、皮膚がんの予防
- 光アレルギーの予防
- 免疫力低下の予防
このようにさまざまなメリットある。
太陽の光から身を守るのに、衣服や帽子あるいは日傘などによって物理的に光線から防御することは非常に大切です。
しかし、地面や壁からの照り返しによる紫外線の反射に対応するためには、サンスクリーン剤(日焼け止め)の併用することが確実で優れた光防御です。
紫外線はA波もB波も肌の老化の原因となるので、どちらも防ぐことが大切です。
日焼け止めの基礎知識
サンスクリーン剤(日焼け止め)を見ると必ず表記されているのが防御効果です。
紫外線A波に対する防御効果をPA(protection grade of UVA)と表されています。
紫外線B波に対する防御効果はSPF(sun protection factor)値で表されています。
光防御は日焼け(サンバーン)を起こしにくいことを主目的に開発されてきました。
しかし、最近ではしみ、しわが作られる原因だけではなく、皮膚ガン発症のリスクにもUVAの関与を指摘されています。
そのため、UVAに対する防御も積極的に行うことは重要であると考えられています。
SPF&PA
日焼け止めの表示にはこの2つの単位が記載されています。
SPF(Sun Protection Factor)とは
紫外線B波をカットする力
SPFは紫外線B波によって肌が赤くなってヒリヒリする日焼けを起こす時間を遅らせる力を表しています。
このような日焼けをサンバーンといいます。
日本人はだいたい20分紫外線を浴び続けるとサンバーンを起こすと言われています。
SPF3なら3倍焼けにくい
20分 × 3 =60分 |
日本人の場合、60分までサンバーンを起こす時間を遅らせることができる。という意味です。
SPF15なら15倍です。
数値が高いほど日焼け止め効果が長く続きます。
数値は2~50まであり、50以上は50+と表記されます。
なぜSPF50+なのか?
SPFはサンバーンを起こすまでの時間を引き伸ばす効果をしてしています。
日焼け止めの防御率は
SPF値 | 紫外線防御率 |
SPF 15 | 約93% |
SPF 30 | 約97% |
SPF 70 | 約99% |
SPF値を倍にすれば防御率が倍になるというものではないのです。
そのため50以上の表記に意味はありません。
日焼け止めは塗っても汗で落ちたり、拭ったりなどしてムラができるなどするものです。
SPF30程度を塗り直したほうが効果的なのです。
PA(Protection Grade of UVA)とは
紫外線A波をカットする力
A波は真皮にまで深く入り込んでくるので肌の老化を促進させます。
肌が黒くなる現象「タンニング」を遅らせることができる時間です。
数値ではなく+で表現されています。
+ やや効果がある 2~4倍
++ 効果がある 4~8倍
+++ 非常に効果がある 8倍以上
++++ きわめて高い効果がある
日焼け止めの成分
日焼け止めの成分には大きく2種類あります。
- 紫外線吸収剤
- 紫外線散乱剤
紫外線吸収剤
文字どおり紫外線を吸収する素材を使った日焼け止めです。
紫外線を吸収する物質が、肌に降り注ぐ紫外線を吸収して熱エネルギーに化学反応させたり、自分自身を犠牲にして紫外線を受けとめる物質などがあります。
紫外線防御力の高い、高SPF値の製品にはほとんど入っている成分です。
メリット
紫外線を防ぐ力が強い
紫外線の吸収効率が良いのでしっかり紫外線から肌を守ることができます。
そのためSPF50やPA++++などの強力な日焼け止めには必ず入っているでしょう。
透明度が高い
紫外線吸収剤は液状から粉状まで様々なタイプが存在し、色は黄色~褐色の成分です。
かなり小さい微粒子になると塗り広げてしまうと基本的に無力透明にしかみえません。
透明なので肌に白浮きすることなく、肌の色を変化させないので顔などに使う際には便利でしょう。
使い心地が良い
紫外線吸収剤は日焼け止めとして商品を作ったときに少量でも薄く広く、成分にムラなく塗り広げられます。
デメリット
肌に刺激がある
紫外線を吸収して熱エネルギーに変えますが肌のうえで起こるので、その化学反応が刺激になります。
その化学変化の反応によって光接触皮膚炎の原因となることもあります。
また、有機化合物なので、人によってはお肌に刺激を感じる場合があります。
時間とともに性能が低下
吸収剤自体が犠牲となり紫外線から肌を守るので、日光にあたる時間か長いほど吸収剤が破壊させていきます。
そのため当然性能が時間経過とともに低下するので、塗り直しは必ず必要です。
UVAは苦手
紫外線A波を吸収できるものはあるのですが、溶けにくかったり色がついていたりと製品として使いにくいため種類は少ないです。
PAの高い製品を作ろうと思うと散乱剤と組み合わせて作られているのが一般的です。
紫外線吸収剤の3大成分
国内の化粧品でよく使われている紫外線吸収剤は3種類が代表的な成分となっています
紫外線吸収剤の入った製品の約7割ほどはに使われている言われています。
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
紫外線A波を吸収できる数少ない成分のひとつです。
そのため、よく使われます。
水やアルコールには溶けない性質があり、薄黄色がかった粉末状ですが油には溶けます。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
紫外線B波を吸収する素材です。
薄黄色の粘り気のある液体で少し特徴的な匂いがします。
油によく溶けて、水に溶けない性質があるので日焼け止めによく使われるシリコンオイルとの相性が良いです。
オキシベンゾン-3
紫外線 A波もB波も吸収できる使い勝手の良い素材です。
白~黄色味がかった粉末で、油によく溶け、水に溶けない性質があります。
高SPF値の製品に使われることが多いようですが、アレルギーを起こす人が稀にいます。
肌への負担が大きい素材です。
紫外線散乱剤
紫外線を反射させる効果のある物質です。
紫外線散乱剤は無機系素材と言われる紫外線を反射する材料が使われます。
- 金属を酸化させたもの 酸化亜鉛、酸化チタン
- 細かい粘土質の粉 カオリン(陶土)
このような素材が使われています。
メリット
長持ちする
光を反射しているものなので、紫外線吸収剤のように化学反応が起こったり、壊れたりしないため効果が長持ちします。
汗や水をタオルで拭いたりなどしなければ効果が持続します。
低刺激
肌の上で化学反応が起こらないのでお肌に優しいため低刺激、ノンケミカルなどと表示している日焼け止めの場合には、紫外線散乱剤が主成分の場合が多いようです。
AにもBにも
光を反射させている物質なので、紫外線A波もB波も両方を防ぐことができます。
紫外線散乱剤のデメリット
紫外線散乱剤は白い粉状のものです。
紫外線防御が低い
紫外線を防ぐためにたくさん配合したいのですが、増やすほど白くなってしまいます。
そのためどうしても紫外線防御効果の高いモノは作れません。
散乱剤のみだとSPF30程度が限界のようです。
使い心地がやや悪い
粒子状になった物質をクリームなどに溶かしているので、べたつきを感じますし、たくさん塗れば白浮きしてしまいます。
紫外線散乱剤の素材
酸化亜鉛
UVA防御素材として使われます。
酸化チタンよりも少量で高い紫外線カット効果が出るうえ、透明度が高いため使い勝手はコチラのほうがよい。
PAはUVA防御効果の目安でなので配合するとPA値を高めることができる。
金属アレルギー
亜鉛は金属なので汗などと反応したとき金属アレルギーを起こす可能性があります。
高純度の酸化亜鉛は心配ありませんが、安い原材料を使っている日焼け止めだと酸化亜鉛の精製が不十分なのでその心配があります。
あまりにも安い日焼け止めの場合は心配です。
酸化チタン
酸化チタンは主にUVB防御素材として使われている白色の粉状の物質です。
酸化亜鉛と比べて安全性が高く、金属アレルギーになりにくいところがメリットです。
また、白い粉なので肌がそのぶん白く見えます。
UVカット
一応UVA防御もできますが、粒子を大きくしないといけなくなるが大きくすると白過ぎて使えない。
そのため酸化亜鉛と混ぜて日焼け止めが作られます。
SPF値は日焼け止めがどの程度がどの程度UVBをブロックできるか?という目安となっています。
そのため酸化チタンはSPF値を引き上げるという点では、配合するなら酸化亜鉛以上に効果的です。
紫外線吸収剤と紫外線散乱剤はどちらがいいの?
一般的には、日焼けをしっかり防止したい場合は、紫外線吸収剤配合のものを、肌への負担を軽くしたい場合は紫外線散乱剤配合のものを使用するとよいとされています。
市場に出回っている日焼け止めには吸収剤のみ、散乱剤のみの商品だけでなく、両方を組み合わせている商品もあります。
最近では、企業努力により種々の素材を組み合わせて、それぞれの製剤の長所を生かし、短所をカバーした広範な防御効果を有するサンスクリーン剤が開発されています。
- 酸化亜鉛
- 酸化チタン
これらの紫外線反射材の配合量をさらに大きくとりながら、有機系の紫外線吸収剤も一定量添加することによって弱点を補っています。
これによりってさらに高SPFとしたものが多く見られます。
また、安全性でも向上していて皮膚への刺激が難点であった紫外線吸収剤ですが、有機素材をシリコンでマイクロカプセルなどでコーティングすることで、素材が直接肌に触れないようにして安全性を高めた製品が開発されている。
このようにして皮膚への刺激をなくし、高い紫外線防御を獲得できるようになっている。
外用サンスクリーン剤の選択と使用法
上記のように最近のサンスクリーン剤は吸収剤か反射材のどちらがいいということではなく、成分をよく確認したうえで、
- スキンタイプ
- 皮膚過敏性の有無
- 太陽紫外線の強さ
- 予想される日光を浴びてしまう時間
- 水に濡れるかどうか
- 使いやすさや使い心地
これらを踏まえてした使用シーンや場所を考え、自分の肌に合ったものを選ぶことが大切です。
アウトドアで使う場合
日常の紫外線予防にはSPF15以上程度のモノが推奨されています。
アウトドアなどのシーンでは SPF30 以上のものが良いでしょう。
現在日本で市販されているサンスクリーン制剤のほとんどが SPFは15以上である。
そのため、自分の肌にあったものを規定の量を塗布することが大切である。
無理にSPF値の高いものを探し求めるよりも塗り直しを行うほうがずっと効果的です。
ナノ粒子について
ナノ粒子はナノサイズにまで日焼け止めの成分を小さくしたものです。
使用感が良くなり、白浮きしにくいなどが目的でナノ化されたが小さすぎて皮膚にはいりこんでしまうのでは?と言われていました。
しかし、2004年の英国王立協会・王立技術アカデミーの報告書によれば、サンスクリーンに用いられている二酸化チタンのナノ粒子は健常な皮膚に入らないとされています。
ナノ粒子大丈夫です。