日光に長時間あたっていると日焼けをします。
そのとき赤くなる場合や黒くなる場合の日焼けがあります。
医学的には両方に呼び名がついています。
- 赤い日焼けはサンバーン
- 黒い日焼けはサンタン(黒化)
サンバーンとはなんだろう?(赤い日焼け)
サンバーンは主に強い紫外線であるB波(UV-B)に急にさらされるときに起こる皮膚の炎症です。
お肌は紫外線によって毛細血管が広がり赤くなり、反応は比較的早く4~5時間程度で始まります。
皮膚にとっては火傷と同じ状態の皮膚炎を起こしています。
成人の場合
夏の日差しの下に約20分ほどいるとサンバーンを起こすのに十分な紫外線を浴びてしまうといわれています。
もし、海水浴などで日焼けをしすぎたと思ったら、なるべく早く冷水タオルなどで冷やすと多少ですが軽減されます。
紫外線(UV-B)に長時間さらされると様々なことが起こります。
サンバーンによる症状
日焼けをして数時間で赤くなりはじめ8時間から24時間でピークとなり、局所の熱感・ヒリヒリ感をともなった発赤・浮腫・水疱が生じます。
2、3日で消えて行きますが、あたりすぎたときは水ぶくれとなって皮がむけます。
ひどい場合は全身の発熱・倦怠感・脱水症状を起こします。
免疫力低下
サンバーンは一時的に身体の免疫力を低下させます。
そのため、体調が崩れたり、単純ヘルペスが発症しやすくなります。
肌トラブル
ニキビが生じたり、白斑(白いシミのようなもの)が発生することもあります。
また、アトピー性皮膚炎、乾癬が一時的に悪化することもある。
サンバーンの悪影響
サンバーンは悪影響が外側だけにでるだけではありません。
日焼けによる炎症が治まった数日後、悪影響はまだ続きます。
皮がむける
紫外線B波(UV-B)は細胞のDNAに直接影響を与え傷つけてしまいます。
DNAは細胞の設計図なのでこの部分に傷がつくと、細胞分裂の際に不良品の細胞が生み出されてしまいます。
このような修復不可能なDNAのキズを受けると、次世代に持ち越さないように細胞は自ら崩壊します。
アポトーシスと呼ばれる現象です。
剥けた皮は「焼けて死んだ皮膚」や「アポトーシスで自ら崩壊した皮膚」などなのです。
光老化
紫外線B波は浴び続けることによって光老化を起こします。
これは皮膚の老化なのでシミやシワなどの老化が促進されます。
しかし、加齢によるものとは性質が違います。
また紫外線は光発癌(いわゆる皮膚がん)を起こす最も大きな要因です。
- 日光角化症
- 有棘細胞癌
- 基底細胞癌
目にも悪影響
紫外線は目にもかなり影響を与えます。
目に入ってきた紫外線は、角膜や水晶体などで吸収して、網膜のダメージを防ぐことができますが、これにも限度があります。
紫外線を浴び続けることでダメージを受けてしまいます。
UVカット機能があるサングラスなどで簡単に守ることができます。
紫外線B波による症状として
- 目の充血
- まぶしく感じる
- 異物感がある
- 涙が止まらない
- 痛みを感じる
- 目が乾燥する
目を老化させる
眼から吸収される紫外線は、眼球内のレンズの役割をする水晶体のタンパク質を酸化させるため
白内障の要因にもなります。
また、白目の部分が黄ばんだり、視界が歪んだり部分的に暗くなる黄斑変性症などのリスクが高まります。
シミの原因となる
目から入った紫外線によって、脳は紫外線から守るためにメラニンを作る指令を体に出します。
これによって、全身でメラニンが増えることになり、日焼け止めを塗っても黒くなります。
また、この影響からシミ、そばかすが黒く目立ってしまいます。
目を紫外線から守ることは非常に重要です。
サンタンとはなんだろう?(黒い日焼け)
太陽光線を浴びた後に皮膚が黒化(タンニング)することをサンタン(色素沈着)といいます。
主に太陽光を浴びた後に起きる皮膚の黒化現象全般のことを言います。
サンタンにはサンバーンが消える3日ごろから現われる色素沈着です。
日焼けをして冬まで半袖のあとが残っている場合がありますがこれがサンタンです。
紫外線によって色素が作り出された結果なのです。
黒い日焼けには2種類あって遅延型黒化と即時型黒化がある
遅延型黒化
遅延型黒化は一般的に私たちが日焼けと思っているものです。
紫外線を浴びてサンバーンの炎症が終わったあたり3~10日目あたりがピークとなり黒くなってしまいます。
黒くなることは体の生体防御反応のひとつです。
メラニン色素は紫外線のエネルギーを吸収できるので、細胞のDNAを守るために人の肌は黒くなります。
黒くなったお肌はそのまま何カ月も続きますが、基本的には元に戻る現象です。
しみやそばかすもメラニンによって現われていますが、少し違うものです。
基本的には元に戻りません。
即時型黒化
即時型黒化は日光にさらされた後に、一時的に色が黒くなる現象です。
大抵数時間~1日以内にあとを残さずきえてしまいます。
これはメラニン色素が新たに作られたのではなく、すでに皮膚の中にある色の薄い還元型メラニンが紫外線を受けて酸化されて色が黒くなったと考えられます。
皮膚色の濃いヒトのほうが容易に起こる傾向があります。
この現象がなんのために起こるのかは未だ不明の部分が多い。
皮膚タイプによって日焼けのダメージは違う
サンバーンとサンタンの程度は皮膚のタイプによって左右されます。
人種やその人の皮膚特性によって違うのです。
肌タイプ | 赤い日焼け
(サンバーン) |
黒い日焼け
(サンタン) |
1 | ◎ | △ |
2 | 〇 | 〇 |
3 | △ | ◎ |
1のタイプは白色人種の人が該当します。
日に当たると皮膚は簡単に赤い日焼けしてしまいますが、黒い日焼けにはならないタイプ。
日本人は2~3あたりになります。
3の人は黒い日焼けになりやすい人です。
3の肌のタイプは、もっとも紫外線に対して黒くなりやすい体質で、紫外線からのダメージが少なくて済みます。
1のタイプは最も問題です。
赤い日焼けにすぐなって、黒くならない人は3の人よりも紫外線に気をつけなければなりません。
光老化や光発癌のリスクが体質的に高いということです。
3つに大きく分けただけなので、日本人でもこのような肌の人は紫外線対策は重要です。
遮光対策が重要
紫外線のスキンケアで最も大切なことは遮光対策です。
サンバーンの原因である紫外線B波は衣類によって70%遮断することができます。
さらに、1日中外で活動する場合は紫外線B波がカットできる日焼け止めの使用も大切です。
とくにスキンタイプ1の人は紫外線ダメージは深刻なのでしっかり保護しましょう。
紫外線は常に降り注いでいます。
紫外線は曇りの日でも、雲を突き抜けてばっちり地上に降りそそいでいます。
そして、意外と反射するもので、上からの紫外線だけを気にするのではなく、地面からの照り返しや建物、水面などからも照射されています。
たかが「日焼け」と甘く考えないことが大切です。
しみを残さないための最善策
赤い日焼け(サンバーン)を起こしてしまった場合は、家庭で手早くケアをすることが実は重要です。早めに患部を冷却すれば炎症の拡大が食い止められます。
日焼けは火傷と大差はありません。
皮膚に水分・電解質を内側から十分補給して、休養することもとても大切です。
サンバーンになってから、ビタミンCをいくら摂取しても意味はありません。
また、皮膚の治療として薬を使う場合、抗炎症外用薬が第一選択となります。
- 軽症の場合は非ステロイド系抗炎症外用薬。
- 重症の場合はステロイド外用薬
これらの塗布を1日数回行うことで炎症を鎮めることができます。
サンバーンによっておこっている炎症に抗ヒスタミン薬は無効はありません。